NY原油がかつて無い暴落を起こし、市場を驚かせています。
急落の勢いから見ても、プロのトレーダーでさえ、慌てて投げ売りをする人達が出ている状況と思われます。
しかし、一部のプロトレーダーは、この事態を冷静に俯瞰していて、別の視点で市場を見るようになったと言います。
この記事では、あるプロトレーダーによる面白い視点について、ご紹介したいと思います。
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トレーダーの冷静な目線
あるトレーダーに、今回の石油暴落をどう見るか尋ねてみました。
結果、彼が注目しているのは、暴落そのものよりも、エネルギー資源の現実の方のようです。
今から15年程前、石油資源は「あと30~40年で枯渇する」等と言われていました。
実際には、新たな油田の発見や、エコカーの普及等によって石油資源の寿命が延びた面があります。
しかし、燃料消費が続く限り、石油量は「足りない」状況に変わりはありません。
現に、ガソリン価格は以前よりも高くなっていますよね。
ガソリンが高いのは、石油資源が少なくて以前よりも貴重だからです。
相場だけを見ると、原油の価値が下がったように思えてきますが、プロの視点で考えると、かなり現実と乖離している価値になっていることが分かります。
有り得ない事態はチャンス
アブダビ等の都市があれだけ繁栄したのも、原油の価値が高いからですよね?
今、そんな石油原産国が得ている莫大な利益(商売)を、指標上で行うことできる状況にあります。
何故なら、本来なら1バレル30~60ドルはする原油が、ほぼ無料で買える状況だからです。
2020年4月21日現在、NY原油価格は、史上初のマイナス圏内に突入しています。
要するに、「石油をもらってくれればお金を払います」という状況なのです。
普通に考えれば、今、巨大なタンクにもらえるだけの石油を仕入れ、貯めておけば大儲けできますよね?
いづれ、石油の価値は平常に戻り、あなたは石油王と同じ状態になるでしょう。
生産コストが無い分、利益は石油王以上と言っても良いくらいです。
これが、冷静に見た現在の状況ということです。
異常事態ではありますが、今後見る事ができないくらいお得な状況でもあるのです。
先物には期限があるため、一時的に大きな値崩れを起こします。
このような暴落への恐怖に支配されると、損切が連鎖し、有り得ないような価格まで値が下がってしまうわけですね。
ガソリン需要の動向
コロナウイルスでの外出自粛によって、航空機やマイカー使用頻度が減り、世界的にガソリン等の燃料仕入れ量が減少しています。
しかし、仕入れをしなければ、数か月後には、このガソリン在庫も尽きます。
一斉に原油の仕入れが動き始めれば、再び原油価格が上昇するのは確実な事ですよね?
地政学リスク等でも、原油価格は上昇するものです。
普通に考えれば、今現在よりも価格が下がる要素は少ないでしょう。
無料でもらえる状況を怖がっているようでは、投資家としては失格というわけです。
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原油価格の高騰時期
おそらく、原油価格は、急激に戻す場面が訪れます。
プロのトレーダー達は、株式相場においても、このような事が起きる可能性があると見ています。
アナリスト達の多くが、「二番底がくる」と言っていますが、プロトレーダー達は「その前に急上昇が先」と考えているようです。
下手をすると、二番底が無いかもしれないとさえ考えているそうです。
プロ達がそのように考える理由は、今回のWTIのような動きに重要なサインを感じるからです。
危機の際には、現金化した大量の資金がダブついていますから、仕掛け的な大規模売買が起こされることがあります。
特に、誰もが「これは安い(又は高い)」と確信するような状況が危険です。
例えば、今回のWTI原油下落では、「1バレル〇ドルなんて安すぎる!」と誰もが思ったでしょう。
ですから、多くの人が手を出します。
事実、需要の観点から見て安いのですから、問題の無い投資行動です。
しかし、これに期限がある場合は別です。
今、原油価格が安いのは確実なことであり、誰もがそう思っていますが、時間軸が変わると話は別ですよね。
仕掛け売りが出た時には、高いところで買った格好にされてしまうのです。
今回、NY原油では、これが起こったことになります。
「お金を払うから原油を引き取ってくれ」という状況まで値崩れさせる売りが出ました。
こうなると、購入した人達は「戻り売り」を待ち始めます。
「ちょっとでもいいから利益確定したい」という心理に陥り、とてつもなく安く手に入れた権利を喜んで手放し始めます。
この時、大量に買っているのが機関投資家達や資産家達です。
投資で成功するには、彼等と同じタイミングで同じ方向に行動しなくてはなりません。
資産家が買うタイミング
仮に、あなたが世界一のお金持ちだったとしましょう。
長期的に見て、1バレル20ドル以下なら、いくらでも買いたいと思うのではないでしょうか。
話をまとめると、価格上昇のタイミングは、個人投資家が投げ売りをし終わった頃という事です。
本来なら、誰も売ってくれないような価格で売り物が増える状況をつくり、金持ちだけがたくさん買える状況となるわけです。
株式市場においても、このような原理が作用する可能性が高い状況だという事が読み取れます。
これは、今までは安全だったと思われるレンジがそうではなくなる状況下にあるという事です。
具体的に言えば、比較的にリスクが低いとされていたデイトレードでさえ、そうでは無くなるかもしれないという事です。
一日の中でのボラティリティが、今までには無いような振れ幅になる銘柄が出ると思うからです。
そうなった時、デイトレードはスイングトレードと同等のリスクということになり、市場から撤退を余儀なくされる人も出てくるでしょう。
感情を持たないAIトレードの増加もあり、リスク管理は今までとは比べ物にならないくらいに難しいものとなっていくのです。
まとめ
プロトレーダー達は、目先の上げ下げよりも、「市場で何が起きているのか」に目を向けています。
それは、大きな資金の動き方の事であり、人々の心理という事でもあります。
ビジネスでも投資でも、このような人と少し違った視点を持つ人だけが生き残ることができるわけですね。