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原油先物の急落でガソリン価格が激安化しないのは何故?

2020年4月20日、NY原油先物が一時的にマイナス圏に突入するという異常事態が起こりました。

コロナウイルスの影響で、原油需要が急激に減少する中、先物(原油を買う権利)を投げ売る行動に繋がった為です。

原油が無料でもらえる状態でもスゴイことですが、今回の状況は、「原油をもらってくれる人にはお金を払う」という状態にまでなったという事なのです。

採った原油をタンカーや貯蔵タンク等に備蓄するのにもレンタル料等がかかるので、お金を払ってでも余った在庫を処分しようという動きです。

こんなに安く買えるのですから、私達の使うガソリンも安くなるのではないかと思いますよね?

ところが、安くなってもせいぜい1リットル120円程度まででした。

おそらく、今後またガソリン価格は上昇していきます。

この記事では、その理由について、分かり易くまとめてみたいと思います。

 

ガソリンは激安化しないの?

原油先物がマイナス価格になったが、どうしてガソリン価格が0円にならないのかと不思議に思う人もいますよね。

 

実は、ガソリン価格には、およそ5割もの税金がかけられています。

石油諸税と消費税がかかるため、どうやっても0円にはならないわけです。

 

また、税金の問題だけではなく、原油の仕入(買い付け)ルートも関係しています。

日本のガソリンは、その大本が中東で採れるドバイ原油だからです。

 

日本のガソリン市場と、マイナス圏まで急落したNY原油とは、直接的には関係がないので、思った程の値下がりはしないという事情があるのです。

世界的に原油消費が低迷することが確実な状況下だったので、日本のガソリン価格も少し安くなっていますが、激安化する程の影響は無いわけです。

 

原油は3種類ある

市場で取引されている原油先物は、3つに大別することができます。

この機会に各産油国と市場の関係について、覚えておきましょう。

 

WTI先物

WTI先物は、NY市場で取引されている原油先物です。

今回、マイナス圏まで下落したのは、主にアメリカ国内で消費されるWTI原油の先物だったわけです。

甘そうな匂いがするそうで、「甘い原油」とも呼ばれ、環境にやさしくて高品質なのだそうです。

 

ドバイ原油先物

ドバイ原油先物は、中東で産出され、日本市場で取引されています。

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで産出される原油で、アジア市場は、中東産原油への依存度が高いです。

ドバイ原油は、オマーン原油と共に中東産の原油価格の指標とされていて、ドバイ原油価格の発表は、S&Pグローバル・プラッツ社が行っています。

 

北海ブレンド先物

北海ブレンド先物は、ロンドンで取引されている原油先物です。

イギリスとノルウェーの領海に広がる北海油田で生産される英国産の原油で、インターコンチネンタル取引所(ICE)で取引されています。

 

まとめ

今後も、一時的に原油価格がマイナス圏になるような事が起こる可能性はありますが、日本のガソリンは、ドバイ原油が同様の状況にならない限り、激安化することはありません。

また、一時的に原油先物が安くなることはあっても、航空機や自動車での燃料消費需要が高まってくれば、必然的に価格は戻ります。

そして、商売である以上は、「なるべく高く売りたい」という心理が作用しますので、ガソリンが安くなるのは一時的なものだと考えるのが妥当ですね。

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