iPS細胞の研究で2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中 伸弥教授が、日本での感染拡大が抑えられた要因について、「ファクターX」と名付けました。
このファクターXの解明は、コロナウイルスの感染拡大を防ぐ鍵になる可能性があるとされています。
現時点で、『日本モデル』とも言われる結果を出した成功要因「ファクターX」の候補とされる仮説について、わかりやすくまとめておきたいと思います。
数値と統計が物語る謎
山中教授は、大都市(東京・大阪)の『陽性率』に着目し、感染者数の実態に警鐘を鳴らしていました。
陽性率とは、PCR検査をした全体人数に対する陽性者の割合です。
東京でのPCR検査の陽性率は約40%で、大坂は約20%でしたが、これがアメリカに比べてかなり高いのです。(アメリカは約20%)
検査数が多いドイツでは陽性率が約7%、韓国では約3%です。
他国と比較すると、東京の陽性率が非常に高い事が分かります。
しかも、現状では検査数が少ないので、軽症者を入れると、陽性率はもっと上昇する可能性があるわけです。
山中教授は、「非常に多くの陽性者を見逃している可能性が高いと推定されます」と指摘していました。
もしかすると、日本でも既に数十万人規模の感染が起きているのかもしれないと考えていたわけです。
しかし、結果的には日本での死者数は少なく、コロナ対策で成功した『日本モデル』が世界的に評価され始めています。
ロックダウン等をしなかった日本の対応に対して批判的だった海外メディアからは、「奇妙」とか「ミステリー」等と論評されているようです。
数字から見れば、とても不可解な部分も残っていることから、日本の成功に何か特別なファクター(要因)があると考えるのは当然です。
海外でも、このファクターXに注目が集まっているようです。
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死亡者数の謎
コロナウイルスによる10万人当たりの死亡者数を見てみると、日本の死亡者数が異常に少ないのが分かります。
- イギリス 約50人
- スペイン 約58人
- イタリア 約52人
- 日本 約0.5人
感染者数自体が少ないとはいえ、ここまで差が出るのは何か要因(ファクター)がありそうですよね。
医療体制の充実という面もありそうですが、志村けんさんのように、短期間で重篤化するケースもあるわけですから、爆発的に患者が増えれば、医療面だけではどうにもできないのが本来の姿のはずです。
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抗体保持(コロナブロッカー)説
個人的に有力視しているのは、コロナウイルスが世界的に流行する前、流行風邪としてアジア圏に広がっていたウイルスが、コロナウイルスの原型だったという説です。
コロナウイルスは武漢から出たと言われていますが、武漢にある研究所で人工的に変異したのが現在のコロナウイルスと考えると説明がつきます。
元々は、もっと弱いウイルスで、昨年から既にアジア圏で流行していた可能性があるわけです。
中国人がよく旅行をする国(日本や韓国)には、既にこのウイルスが流入しており、気付かないうちに蔓延していたかもしれないのです。
実際、年末から1月にかけては、咳が長引く風邪が流行していました。
この風邪の抗体を持っているアジア人は、ある程度はコロナウイルスへの耐性を持っていることになるわけです。
症状が軽く、殆ど何も感じない人がいるのは、この為かもしれません。
ヨーロッパでも、一部の人達は、アジアへの渡航時に抗体を得ているケースがあるはずです。
ただ、絶対数の問題で、ヨーロッパでは抗体を持たない人が多く、死亡者が増えた可能性があるのです。
その他、あらゆる面で、最も辻褄が合う説だと感じます。
アジア特有の要因
感染拡大を早期に抑えた国は、中国をはじめとして、韓国・日本等、アジア圏に目立ちます。
そもそも、コロナウイルスは中国で発生していますから、アジア人には、元々遺伝的な抗体があるという可能性もあります。
つまり、飛行機が無かった時代から、コロナウイルスの原型となる菌が存在していて、私達アジア人の祖先がこの抗体を手にしていたという可能性です。
遺伝的に抗体を持っているので、特定の病気を抱えている人だけが重篤化するという理屈です。
遺伝説の場合、日本には、船でウイルスが渡ってきたことになりますが、これが全国的に広がったかというと、少し無理がある気がします。
全否定はできない説ですが、少し可能性が低そうに感じます。
文化の違い
ヨーロッパとアジアの文化の違いにも、感染拡大防止に大きな違いを生み出したように感じます。
複合的な要因として、各国の文化はかなり感染拡大のスピードに影響しているはずです。
欧米では、ハグやキスが挨拶代わりになっていますから、老人に対しても再会や別れの挨拶時に感染させるリスクが高いです。
また、部屋の中を靴で歩く文化も感染拡大を助長したと言われています。
中国では、円卓で箸をつつき合う文化がありますし、韓国でも箸をつつき合うとか、回し飲みをする文化があるようです。
これに対し、日本人は、元々があまり人と接触をしない国民性です。
お辞儀と名刺交換だけで、握手などもあまりしませんよね。
また、日本は医学に対する知識がTV番組等でよく取り上げられる国でもあります。
潔癖症の人も多いですし、マスクを装着する文化も浸透していました。
アメリカでは、マスクに対して「犯罪者」や「人種差別組織」のイメージがあり、着用することに心理的抵抗があります。
黒人の人達は、自分がマスクを着けているだけで、警察等に発砲されるリスクが高まるとさえ感じているそうです。
このような文化の違いが、日本での成果に繋がっている面もあると思います。
国民性と予防接種
日本には、予防接種という取り組みがありますよね。
BCGの予防接種等が、何らかの抗体効果として影響しているという説もあります。
しかし、これだけでは説明がつかない部分もありそうです。
この説の場合、高齢者には全く抵抗力が無いということになりますから、もっと多くの感染者が出ていると思うのです。
むしろ、日本の勤勉な国民性から、「みんなルールを守ろうよ」というムーブメントが起こりやすい事が大きい気がします。
それでもパチンコ店等に行く人はいましたが、国民全体に対する無法者の割合が少ないという事です。
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感染源は繁華街
大都市以外で感染者が多かったのは、北海道と北九州でした。
このどちらにも、男の人が遊ぶ夜の街があります。
人口が少ないのに感染者数が伸びてしまうのは、夜遊びをする人達のモラルに関係していると思います。
自粛ムードの中、パチンコ店に行くような人達は、自分に感染の可能性があっても街を出歩くような低モラルな人達です。
このような人達の行動は、共通していて、ギャンブルで勝ったお金をお酒や女性(風俗等)に使う傾向が高いです。
このような場所には、同じような類の低モラルな人達が集まっていますから、移された側もまた夜の街をうろつくでしょう。
こうして、モラルの低い人達が行くような場所では、感染が広がり易いという状況が生まれていきます。
ライブやカラオケについても、低モラルな人は「自分も行きたい」という感情を優先します。
病院等でのクラスター感染はしかたない事ですし、比較的に封じ込めることができるでしょう。
しかし、低モラルな人は、そのまま会社にも行きますし、動ける限りは夜の街にも行くわけです。
ファクターXとして、この要因を明らかにしていくことで、「夜遊びが好きな人や、モラルの低そうな人に近づかない」という予防常識が芽生えていくかもしれません。
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まとめ
日本のファクターXの正体は、おそらく様々な要因が複合的に発揮された結果だと思います。
そして、現時点で仮説とされている中にも、新しい感染防止策のヒントが隠されていると感じます。
パチンコや風俗が好きな男性や、普段からモラルが低いと感じる人には近づかないようにすることが有効です。
これが、本当の意味でのソーシャルディスタンスなのではないでしょうか。
2次感染が起こったとしても、既に意識の高まりが起こった日本では、封じ込めに繋げられる可能性が高いです。
皆が協力し合って、節度のある生活と行動をとることが、最善の予防策となる気がします。