日銀のことを、政府の銀行だと思っている人はいませんか?
また、お金を発行するのが主な業務内容だと思っている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、そんな日銀の業務内容と役割について、わかりやすくご紹介したいと思います。
日銀は誰が運営しているの?
日銀(日本銀行)は、「中央銀行」とも呼ばれていて、お金に関するシステムを管理する特別な銀行です。
そして、日銀は、民間の会社でもなければ、政府の機関でもありません。
ちょっと不思議に思うかもしれませんが、これは独立した立場でいられるようにするためです。
日銀が政府の言いなりになるのもいけませんし、特定の企業に有利な金融政策を行うのもダメですよね。
そこで、「認可法人」という立場にすることで、政府と民間の間に立つ独立機関としたのです。
認可法人は、政府の認可によって特別な法律に基づいて創られたわけです。
日銀の業務
日銀の業務と言えば、「お金を発行すること」というイメージを持つ人も多いと思います。
確かに間違ってはいないのですが、他にもたくさん重要な仕事があります。
日銀は、日本で唯一の発券銀行(お金を発行できる銀行)ですが、政府のお金を管理する銀行でもあります。
つまり、私達が払った税金や、政府の国債等を管理する役割があるのです。
この為、日銀は「通貨の番人」とも言われます。
また、銀行に対する「最後の貸し手」として、金融システムを守る役割もあります。
もしも、それでも銀行が破綻してしまった時には、国民がその銀行に預金していたお金のうち1千万円までは保護することになっていて、この制度を「ペイオフ制度」と言います。
その他、金融政策によって景気をコントロールするという役割も忘れてはいけない重要な業務の一つですね。
公定歩合
日銀には、国民がお金を預けることはできません。
政府のお金を管理することと、民間銀行のお金を管理するだけです。
要するに、政府と金融機関のお金を預かる(又は貸し出す)銀行ということなのです。
日銀が銀行にお金を貸す時の金利のことを「公定歩合」と言います。
最近のニュース等では、「長期金利」で表現されることが多いかもしれません。
「日銀が長期金利を下げた」というニュースなら、銀行へ貸し出す時の金利が下がったという事です。
民間銀行は、国民に貸し出すお金を工面する際、日銀からお金を借りて調達することもできます。
この時の金利が安くなれば、国民の住宅ローンや法人の事業ローンの金利も下がります。
すると、企業は設備投資がしやすくなり、国民は住宅が購入しやすい状況になりますよね。
その結果、世の中の仕事が増えて景気が良くなり、私達の給料に反映されていくというわけです。
現在、日銀は、景気を良くして国民の賃金が上げるための措置として、マイナス金利政策を実施しているのです。
(なかなか思ったような結果が出ないまま、長い期間が経過していますが・・)
このように、日銀は、公定歩合を調整することによっても、日本の景気をコントロールしています
公開市場操作
皆さんは、マネーサプライ(又はマネーストック)という言葉をご存知でしょうか。
これは、「通貨供給量」という意味で、会社や個人が持っている日本国内のお金の量のことを言います。
日銀は、この通貨供給量を調整することも業務としていて、これを公開市場操作と言います。
公開市場操作は、簡単に言えば、景気の状況によって通貨量を増減させることです。
お金がたくさん出回れば、景気は良くなりやすいですよね。
お金の量を減らせば、景気は悪くなりやすいでしょう。
このような調整をオープンなオペレーションによって行うのが公開市場操作です。
買いオペレーション
あまり景気が良くない時には、日銀は通貨供給量を増やすために銀行が持っている国債を買います。
これを買いオペレーションと言い、「買いオペ」等とも呼ばれます。
買いオペが実行されると、銀行にはたくさんの国債が現金化される(投資したお金が返ってくる)ことになります。
しかも、利息が付いた状態で返ってきたわけです。
すると、銀行は日銀からお金を借りなくても個人や法人に貸し出しができます。
安い金利でお金を借りる事ができるようになるので、世の中のお金の回りが良くなり、好景気に繋がりやすいということですね。
売りオペレーション
景気が良すぎる時に行う公開市場操作は、売りオペレーション(売りオペ)です。
景気が良すぎるなんて事があるのかと不思議に思うかもしれませんが、このような状態を放っておくと、バブル崩壊が起こるのです。
景気が良いと、皆が油断してお金を使い過ぎるので、大きな失敗をする人が出てきます。
このような過剰な経済にならないように、景気が行き過ぎた時には、日銀は銀行に国債を買わせて銀行にあるお金を減らすことで通貨量を調整します。
そもそも、日銀が行う買いオペは、実質的に通貨発行と同じですよね?
日銀は、どこかからお金を借りているわけではないからです。
買いオペ時の国債買取り資金は、お金を発行(印刷)しているわけです。
ですから、景気が良くなった時には、買いオペで発行しすぎたお金を回収するという意味もあります。
つまり、売りオペと買いオペは、長期的にはセットになっていなければ不自然なのです。
どちらも経済のバランスをとるための操作ですから、一時的な増減であるのは当然ですよね。
また、日銀が通貨量のバランスをとることに失敗することもあるので、日銀総裁の責任はとても重いのです。
ある意味では、総理大臣クラス又はそれ以上の能力が求められる役職だと思います。
まとめ
ざっと日銀の仕事(役割)について説明しましたが、いかがだったでしょうか。
なんとなく全体像が見えたのではないかと思います。
日銀の業務内容を知ると、意外に私達の生活と直結した問題を処理している機関であることに気付くと思います。
今後、ニュース等で「日銀」という言葉を聞いた時には、今回のお話を思い出してみてください。
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