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歌の上手さの判定方法は音程ではない!?

皆さんは、歌の上手さをどこで判定していますか?

音程の正確さ」や「声の出し方」等に注目している人が多いのではないでしょうか。

歌の上手さを掘り下げてみると、とても幅広い判定要素があることに気付きます。

今回は、人の歌を評価する際の判定ポイントのお話です。

 

 

日本人は歌の判定が下手?

日本は、時代をさかのぼるほど演歌や民謡等に馴染みが深い音楽文化を持っています。

この為、現代ミュージックへの感性を高める期間が短かったわけです。

 

海外の音楽に感化されて発展したと言っても良いでしょうし、特定のブーム(ムーブメント)で幅広い音楽を聴く力に乏しい環境になりやすいという特徴もあると思います。

日本人は、昔から協調性を重んじてきた為、「皆が聞いているから」とか、「流行っているから」という理由で音楽を選ぶ傾向があるわけです。

 

そして、カラオケの判定基準が浸透してしまったことで、「歌の上手さ」についても音程だけに注目してしまう傾向を生んだと思います。

このような背景から、どんな部分で歌の上手さを判定すれば良いかよく分からない・・という人も多いようなのです。

 

この為、世間では歌が上手いと評されるアーティストでも、プロから見れば「あまり上手いとは言えない」というケースも珍しくありません。

残念ながら、実は、日本のシンガーレベル(平均値)は、世界に比べるとかなり低いのです。

 

歌の上手さとは?

カラオケで点数をつける文化が根付いたせいか、歌の上手さをピッチ重視で判定する人が多いです。

でも、音程が正確なだけで歌が上手いとは言い難く、正しくは「下手ではない」とか「音程が正確」という技術面の1つとしての評価でしかありません。

 

だって、音程が正確な人が上手いのであれば、機械が一番うまいということになってしまいますよね?

では、ボーカロイドの歌がこの世界で最上級なのでしょうか。

違いますよね?

 

殆どの人は、肉声にしか出せない魅力を感じる部分があると思います。

歌の上手さを判定する基準は、意外に多くの要素があり、日本人はそこをあまり重視していないように思います。

 

では、歌の上手さを判定する上で、改めて代表的な要素を見ていきましょう。

 

音程のスキル

音程は正確な方が聴き手は安心感があります。

でも、ほんの少しだけ意図的に音程を外す技術(ヘタウマ・不協和音効果)や、難解なコーラス旋律を使う人もいます。

 

音程だけでは説明がつかない魅力もあるので、ピッチ(音程)が歌の上手さを決定付けるとは言えません。

音程スキルには、メロディー(歌いまわし)のアレンジ能力や、音の強弱によるコントロール等も含まれるでしょう。

 

日本人の聴き手(ユーザー)は、レコーディングされた音源と同じように歌って欲しいと言う人が多いです。

でも、そのアーティストの歌の上手さを感じたいなら、その日の感性で歌い上げてもらった方が良いのです。

 

いつもとは別の歌いまわしをしてもらった方が、その人の本来の才能が見えますし、希少価値があります。

CDの通りに歌って欲しいなら、家でCDを聴いていればいいですよね。

むしろ、LIVEで感じられるアーティストの素材感とか、実声での潜在パワーの方に注目すべきでしょう。

 

エフェクト能力

歌は、一本調子で歌うよりも、ビブラートや声質の変化等で演出を行うことで聴こえ方が随分と変わります。

上手い人の歌をよく聴いてみると、ビブラートの振動間隔を歌詞やメロディーの雰囲気に合わせてコントロールしていたり、意図的に通常の声とは違う発声を行っている部分があることに気付きます。

 

このようなエフェクト効果を「どこに入れるのか」とか「どれくらいの長さで使うか」といったセンスも歌の上手さに大きく影響します。

本当に上手い人が歌うと、同じ歌を歌っているのに聴こえ方や歌の印象が全く違うのです。

ですから、どんなつまらない歌でも、本物のシンガーが歌った瞬間に名曲になってしまいます。

 

最近は、ボーカル用のエフェクターが色々と進化しており、ある程度は声や歌唱力が加工(補正)できてしまいます。

この為、エフェクターなしでのアカペラ歌唱については、とても聴けたものではないシンガーも増えています。

一方、昭和の時代のシンガーは、機械に頼れる要素が少なかったので、歌の技術が高い人が多いと感じます。

 

リズムとグルーブ感

個人的に、日本人に最も足りないのがこの能力だと思います。

日本人は、歌を判定する側もリズム感に乏しいのです。

 

これは、音楽の授業等で「いちにーさんしー、にーにっさんしー」というリズムのとり方を教わってしまった事や、演歌・民謡での拍のとり方に馴染みのある国・・という部分も大きいかもしれません。

 

日本人は、どうしても節を意識しており、グルーブとか、コンマで感じるような間を判定できません。

シンガーが持つ、独特の間があり、これがメロディーの印象を変化させているわけです。

 

ドラムにも「溜め」と言われる技術があって、本来の正確なスネア打奏の位置よりも遅らせて打つ奏法があります。

本当に僅かなズレを意図的に演出し、聴き手にはわからないレベルで溜めるのです。

それでいて、全体の演奏秒数は変わらないので、素人にはこのレベルのリズム感を持つシンガーを判定することは難しいわけです。

私自身、ドラムを習得するまでは、このような溜めの要素に着目することができませんでした。

 

有名なアーティストで具体例を挙げるとしたら、美空ひばりさん、吉田美和さん、宇多田ヒカルさん、UAさん・・といった感じです。

グルーブ感の優れたアーティストは、カラオケ等で歌ってみても「なんか違うんだよな」という事になります。

その秘密は、リズムのとり方(溜め)にあるわけです。

 

ダンスでは、動きの緩急でスピード感を出したりしますが、あれと似ている能力です。

普通に手を振っているダンサーと、緩急をつけて踊るダンサーでは、同じ動作でも見た目が全然違いますよね。

 

歌も同様に、微妙にズラすことでスローに感じさせたり、疾走感を出すことができるということです。

 

声質(ギフト)

歌の上手さを考える時、声質も大きなファクターとなります。

極端な話、日本のミュージックシーンでは、希少な声質音程が備わっていれば歌が上手いと言われることになるでしょう。

 

本来、この2つのファクターだけで歌が上手いと言って良いのか疑問ですが、実際のところ上手く聞こえてしまうことも確かです。

声については、生まれ持った才能の部分になりますから、発声法等を習得する以外に努力のしようもありません。

 

でも、逆を返せば、歌の上手さは声質だけではないわけですから、他の部分で努力して補う事ができると言う事でもあります。

声質が平凡な人ほど、こういった努力を積み重ねているシンガーなわけですから、しっかりと聴き手も評価してあげて欲しいところです。

 

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伝達力(感情と魂)

歌の意味や、歌詞の意味を届ける力についても、歌の上手さに繋がるところです。

何が違うのか分かりませんが、圧倒的に熱量の高いシンガーっていますよね。

 

この能力を強く感じるアーティストとしては、矢沢永吉さん、長渕剛さん等が代表的なシンガーになるのではないでしょうか。

それ以外にもたくさんおられますが、この能力だけで売れてしまう人もいるくらい、日本人に刺さるスキルです。

 

一方、このような能力が「暑苦しい」という人もいるので、やはり歌の上手さとは総合力なのだと常々感じます。

 

パフォーマンス能力

カリスマ性、ビジュアル性、ファッション性等、ボーカリストには人を惹き付けるパフォーマンス能力も必要です。

悲しそうな表情、しぐさ等によって歌が引き立つこともありますよね。

 

一言でいえば、シンガーが持つ強烈な個性という事になりますが、バンドボーカル等の場合には特にこれが求められることになります。

氷室京介さん等が代表格ですね。

 

MISSAさんのような実力派シンガーでさえも、衣装へのこだわりが感じられます。

歌を聴いてもらう際の雰囲気とか演出に大きな力があることを示唆しているように思います。

雰囲気のある場所(照明効果)で歌う方が気持ちが入るという事もあると思います。

 

歌の上手さに環境や見た目は関係ないのでは?と思う人もいるかもしれません。

でも、考えてみてください。

 

美しい風景を見ながら聴くクラッシックと、ごみ溜めのような景色を見ながら聴くクラッシクでは、どちらが感動するでしょうか。

見た目や立ち振る舞いの素質についても、ギフト的な才能として授かっている部分があるように思います。

 

ボーカリストとして、よりかっこよく、美しくあることは、歌が上手いと感じさせる効果へ繋がっていると思うのです。

 

ブレススキル

あまり注目されない部分かもしれませんが、シンガーの中でもブレスの上手い人とそうでない人がいます。

元々の肺活量とか、息(発生時の空気量)の長さにもよりますが、ブレス技術によってカバーできる部分があります。

 

一般的に、高い声や固定した声では、息の使用量が少なくなり、長く声を出せます。

その反面、吐息のような声や、ハスキーボイスを出す際には、息の使用量が増えて短い時間だけしか声が出せないのが普通です。

 

稀に、透明感のある歌声で長い息を使える人もいますが、本当に稀なタイプです。

息継ぎは、多すぎても邪魔になりますし、少なすぎても苦しそうに聞こえてきます。

バランスやタイミングが難しいので、意外にセンスが光る部分でもあると感じます。

 

まとめ

歌の上手さは、聴き手が自由に判定するものです。

しかし、判定する側の力量によって、本来あるべき評価と差異が出ることもあるでしょう。

 

最も単純に判定する方法としては、「最後まで飽きずに聴けるか」とか「何か心を揺さぶられるものがあるか」といった感性で見る事かもしれません。

結果的に、このような印象を与えるシンガーは、この記事でご紹介したような複数の要素を併せ持っている可能性が高いからです。

 

カラオケ等の機会判定の場合、リズム間は「ピッタリかどうか」という判定基準で採点されてしまいます。

本来、聞き手に違和感を与えず、意図的にリズムによる演出をしている人を評価しなければいけないですよね。

 

個人的には、日本のシンガーには、このリズムスキルが最も欠けていると思います。

聴き手側がもっと総合的な判定評価をするようになれば、日本のシンガーレベルがもっと向上する気がしてなりません。

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