不動産で相続対策をする人達の多くは、アパートやマンション等の賃貸事業を選びます。
タワーマンション等で低評価を狙う手法等も流行しましたが、国税局の評価基準に新しい判例が出るなど、必ずしも安心できない面もあります。
不動産賃貸事業の場合、空室率が上昇傾向です。
都市部や観光地でさえも、賃貸自需要は減少する要素が目立ちます。
コロナの影響、仮想空間の進歩、戦争やインフレによる不況、建築コスト増、少子化等、賃貸事業にとってはどれもマイナスに働く事柄です。
そんな中、ひそかに注目され続けてきたのがコインランドリー経営による相続対策です。
この記事では、コインランドリー経営の対策効果について、分かり易く解説していきます。
最大の対策メリット
相続対策には、『小規模宅地の特例』という有名な特例制度があります。
簡単に言えば、一定の条件に合えば、土地の評価を下げて課税してもらえる制度です。
賃貸不動産を保有している場合、その土地の評価は200㎡までが半分(50%)の評価で良いことになっています。
小規模宅地の特例の分類としては、「貸付事業用宅地等に該当する宅地等」に該当することになるからです。
コインランドリー経営が相続税対策になる最大の理由は、この小規模宅地の特例の適用条件が良い点にあるのです。
コインランドリーの場合、小規模宅地の特例の分類上で「特定事業用宅地等に該当する宅地等」に該当することになります。
この場合、その土地の評価は、400㎡まで80%減で評価して良いことになっているのです。
数字で比較すれば一目瞭然
例えば、1億円の賃貸アパート(400㎡)を持っていた場合、200㎡までしか減額対象になりません。
この場合、200㎡が5千万円ですので、この部分が50%(2500万円)で評価できることになりますから、土地評価は7500万円に下げられるわけです。
一方、1億円のコインランドリー(400㎡)を所有していた場合、土地評価は単純に80%減額になり、土地評価はたったの2000万円です。
相続税で比較してもメリットは明白
仮に、将来に課税される相続税が、基礎控除等を差し引いた状態で20%課税のケースだとします。
資産家の方の場合、30~55%という人もいますから、ここでご紹介する試算はミニマムに近いものと言って良いでしょう。
7500万円の評価の土地の場合、1500万円もの相続税が発生します。
一方、コインランドリーなら、400万円で済むのです。
その差額は、1100万円にもなりますから、当然ながらこちらに魅力を感じる人が多いという事なのです。
ウクライナとロシアの戦争によって、建築費やリフォームコスト等が上昇している状況では、益々コインランドリーを選ぶ人が増えそうな予感がしますね。
減価償却効果もスゴイ
アパートやマンション等、建物の減価償却をする場合には長い償却期間が必要になります。
ところが、コインランドリーへの設備投資の場合、設備投資のメインが機械への出費なので、償却期間がとても短くて済みます。
また、中小企業経営強化税制を使える人は、即時償却や税額控除の適用があります。(2023年3月31日まで)
固定資産税についても、中小企業等経営強化法に基づく固定資産税の特例が適用できれば、3年間免除されます。(2023年3月31日まで)
優遇税制の利用条件を満たしている人に関しては、やらない理由がない事業とも言える状況ですが、まだ知らない人も多く、乗り遅れている地主さんもたくさんいることでしょう。
消費税の還付効果もある
仮に、コインランドリーで約3000万円の設備投資をしたとしましょう。
この際、消費税としては約300万円の支払いが発生しています。
初年度の売り上げは低くなることもあります。
なので、初年度の売り上げが100万円位だとしましょう。
すると、受け取った売上に対する消費税は約10万円です。
よって、消費税還付の計算は以下のようになります。
支払い消費税300万円-受取消費税100万円=290万円
つまり、3000万円投資しても、290万円は戻ってくる可能性が高いのです。
2年目以降については、消費税のかかる経費との差額を納税することになりますが、非課税業者になるように売上をコントロールすることもできるので、税理士等の専門家とタイミング等を相談すると節税効果が大きくなります。
まとめ
コインランドリー経営についても、顧客が来ないリスクはありますから、立地やリサーチが大切です。
また、布団を専門にしたコインランドリーにする等、何かに特化した経営方法にするのも一考です。
最近では、WASHハウスのようなコインランドリー事業で上場する企業まで登場しています。
最新の税対策としてサービス進化し、スタンダード化していくかもしれませんね。