地主や資産家の人達には、必ず信頼している相談先があると思います。
そして、このような相続対策の相談先は、大抵は税理士や地元の不動産会社等です。
「長年相談してきた」等という理由で、違う相談先に変更するのをためらうケースも多いようです。
このような相談先によって、本当に財産が減っていないのなら良いのですが、そうでないなら考え直した方が賢明です。
相続の度に段々と土地(不動産)が減っていくとか、多額の借金をして相続税を圧縮しましょう等と言われていませんか?
この記事では、そんな地主さん達に対して「もしかしたら相談先を間違えているかも」というお話をしたいと思います。
相続税対策で土地が減る
税理士や不動産業者が勧める相続税対策の多くは、アパートやマンション等の収益物件を建築し、土地の評価額を落とすというものです。
確かに、相続税を支払う額は減るのですが、「借金は増えている」という現実もあります。
地主さんの多くは、「税理士に聞いたから大丈夫」だと考えています。
しかし、目先の相続税が減らせても、将来に債務超過になって土地を売るしかなくなるのでは意味がありませんよね。
だったら、はじめから土地を売って相続税を払えば良かっただけの事です。
借金をしたなら、それは必ず返済できなければなりません。
そうしなければ、また土地を売ることになるのです。
建物に空室が出て、採算がとれなくなるまでには数十年の歳月が必要です。
その頃には、相談していた税理士は引退しているかもしれませんし、不動産業者も存続しているか不明です。
税理士は、将来の賃貸経営のことまで保証してくれるわけではありません。
それでも、地主さん達は、彼等を信じて多額の借金をしてしまいます。
収益物件の利益が出なくなって不動産を売却して喜ぶのは不動産業者だけです。
この時になって税理士に文句を言っても、「建築会社の収支見通しが間違っていたからだ」と言われればオシマイです。
一方、建築会社は、「あくまでも概算の計画ですから」等と言い、着工判断をした地主の自己責任にするのです。
こうして、結局は代々受け継いできた土地が減ることになります。
誰を信用する?
貴方は、人生をかけるほどの相談をする相手を選ぶ時、誰を信用するでしょうか。
そんな大事なことを相談する相手に、誠実かどうかも分からない税理士や、街の不動産屋を選んで良いのでしょうか。
私なら、もっと「疑いようのない根拠」を持った相手でなければ、到底信じることはできません。
政治家でも警官でも犯罪者になる人はいますし、結局は誠実さがなければ何の価値もないと思います。
相手が税理士だろうと、教師だろうと、誠意の無い人はたくさんいます。
国家資格を持っているからといって信用して良いわけではありませんよね。
ですから、相続や不動産に関するアドバイスは、本当に時間をかけて信頼できる相手を選別する必要があるのです。
相談先の選別方法
有識者の持つ知識を、自分で勉強できれば一番良いのですが、それはなかなか難しい事です。
一つの資格をとるだけでも数百時間の勉強が必要ですし、そこに実務経験まで入れると習得には数十年の月日がかかるでしょう。
ですから、やはり選別するしかなく、地主側はその選別の目を鍛えるしかないのです。
それが、最大の防御であり、自分の資産を守ることに繋がります。
私の考える選別方法は、別記事にしたことがありますので、詳細はそちらを読んでください。
端的に言えば、色々な業種の専門家集団を見つける事です。
株式等でも「リスクの分散」が必要だと言いますが、相続対策においても同じです。
税理士だけに相談するのではなく、様々な専門家に分散して相談することでリスクが軽減されるからです。
仮に、10人の相談先の中に悪い人物がいたとしても、それ以外の9人が「それは違う」と反対意見を出してくれる可能性が高まります。
要するに、コンサルティング会社の組織の中に、複数の専門家が介在しているような状態が好ましいという事です。
そのような多角的な展開をする会社は少ないかもしれませんが、同様のコンセプトを持つコンサルティング会社は存在しています。
資産を減らさない提案
相続で土地を売却した場合、その分だけ資産(現金)が増えるのが理想的です。
しかし、相続の土地売却では、本来の土地の価値よりも低い価格で取引されることも多いですよね。
ですから、目減りした資産をどのように取り戻すかという提案も重要です。
良い相談相手の条件は、いかに資産を減らさないかを考えてくれる相手(相談先)である事です。
一時的に資産が減ったとしても、将来の資産形成に役立つ形(出口)を提案してくれるでしょう。
賃貸経営が上手くいっておらず、どうしても土地を売らなければならない状況の地主さんの場合でも、やり方次第で手元に残るお金の量がかなり変わってくることがあります。
厳しい状況の人は、複数の相談先からの提案を受けてみる事をオススメします。
提案の誠実さ
大抵の相談先(税理士等)では、これから建築する収益物件を売却するベストなタイミング等について具体的に述べる事がありません。
節税目的で建てさせるだけでは、あまりにも無責任です。
これでは、「将来のことはわからん」と言われているのと同じだと思いませんか?
信頼できる相談先では、投資した建築資金を確実に回収するためのスケジュールを提示します。
また、売却によって資金を回収するタイミングと、確実性のある売却価格についても想定をしてくれます。
つまり、「どう転んでも損をしないように一緒に運営していきましょう」というスタイルをとるのです。
採算がとれない建築計画は「止めるべきです」と提案してきます。
優良なコンサルティング会社は、本当に誠実な提案をすることで信頼関係を築き、その結果、顧客と長い付き合いができると考えます。
それが、結果的に企業寿命を延ばすことであるという理念を持っているからです。
このように、資産を減らさないような長期的な出口戦略を感じられる相手を見つけて下さい。
まとめ
現在、既に依頼している相談先についても、今一度、本当にその相手を信じて良いのか考えてみるきっかけにしていただければ幸いです。
どこまで責任をもって将来のことを考えてくれているのか、単純に儲かるから寄ってきただけではないのか、よく見定めてください。
早く対策すれば、最悪の事態を免れることができるケースもあるはずです。
2022年の生産緑地問題等も近づいていますので、相談先と対策手段は、くれぐれも慎重に選別していただきたいと願っています。