高齢化社会の新たな問題として、認知症の増加による不良債権の増加が懸念されています。
認知症の人口割合が高くなっていくと、様々な個人資産に悪い影響が出てきます。
金融機関での本人確認ができないレベルまで認知症が進行すると、口座が凍結されることもあります。
この記事では、認知症による様々なリスクについてご紹介します。
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認知症で株が売れなくなる
日本の個人投資家の15%前後は、高齢者だそうです。
保有株については、家族でも詳細を把握していない事も多いでしょう。
この15%の人達の内、何%が認知症になるのかは不明ですが、若年性認知症等のケースを含めるとそれなりの人数になりそうですよね。
認知症になると、株を保有していた事を忘れてしまう可能性が高いです。
暗証番号等が思い出せず、いつか取引もできなくなるでしょう。
相続財産として引き継ぐにしても、絶好のタイミングで売却するチャンスを逃す可能性があります。
本人が生きている限り、親族によって処分することは困難ですから、株式の整理は早めに行っておくべきでしょう。
認知症の初期症状を感じ始めたら、早めに株式市場から撤退する等、資産の現金化を進めていくのが理想です。
売却金額が大きい人は、不動産投資物件を購入する等、相続税対策を進めるのも良いでしょう。
収益物件によるリスク
アパートローンを抱えている年代は、70歳以上の人が圧倒的に多いそうです。
大抵の場合、相続対策として収益物件を購入する為、債務者の平均年齢が高い実情があります。
債務者が認知症になると、空室対策等の重要な判断ができなくなります。
計画性が失われることで毎月の支払いが滞る可能性もあり、金融機関としては不良債権リスクが高い融資です。
通常、返済が長期間に渡って滞った場合、金融機関は督促状等で本人に返済を促します。
認知症によって、このような経緯を忘れてしまうと、担保物件を売却されることになり兼ねません。
また、銀行側としても、認知症になった人の資産を売却するのは大変手間と時間がかかります。
不良債権としてはかなり厄介な部類になり、資金回収が遅れるリスクが大きいのです。
対策としては、生前贈与によって若い世代へ引き継ぐのが理想です。
時期を見て、信頼できる管理会社等に全委託するのも一考です。
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3つの認知症対策
認知症によって「お金」に関する不都合が生じる可能性は非常に高いです。
特に、口座凍結が起こると、現金の引き出し等が容易ではありません。
それに、いくつの通帳を持っていたのか等も確認ができない状況になってしまいます。
そこで、認知症対策として重要なものを3つご紹介しておきます。
ご家族等に高齢者を抱える人は、早めに行動を促しておきましょう。
- 口座を1つにまとめる
- 不動産の相続に備える
- 遺言書を作成しておく
預金口座がいくつも存在すると、親族がその口座の存在に気付くことができない可能性もあります。
特に、ネットバンキング等は、使用している銀行名を家族と共有しておくようにしましょう。
不動産の相続についても、相続税対策をしっかりと考えておくことが重要です。
これを行わないまま認知症にかかってしまうと、家族に無駄な税金を払わせることに繋がるかもしれません。
自分の意思でしっかりと資産を振り分けておくことで、亡くなった後のトラブルも回避できます。
どこかで遺言書を作成しておく事も大切な認知症対策です。
この際、インターネット上で使用している重要なパスワード等も一緒にまとめておくと良いです。
ポイントの管理や、出金指示が可能なサイト等は、認知症になってしまうと誰も気づくことができません。
「そのうち」等と後回しにせず、年に1度は遺言書の見直しをするくらいの習慣にするのが理想だと思います。
自筆遺言方式の方法を覚えてしまえば、お金もそれほどかかりませんので、一度法律家に手続きの方法を聞いておくと良いですね。
まとめ
認知症によって、個人の金融資産は流動性を失います。
面倒を看てくれる家族のことを考えて、早めに行動するようにしましょう。
また、若い世代も、高齢者に対して対策を勧めるようにしていきたいですね。
「その時になって気付く」という事にならないためにも、困ったことになった状況をリアルに想像してみる癖をつけると、具体的な行動に繋がると思いますよ。
家族全員が「今のうちにやっておこう」と思うようにする意識が大切ですね。