相続対策の準備をしようとする際には、「いい税理士を見つけなければ」と思っていませんか?
そんな発想のままでいると、相続税対策に失敗する可能性があります。
確かに、税理士は税金のプロなので、彼等に相談するのが一番だと考えるのも理解できます。
しかし、そこには大きな落とし穴があるのです。
この記事では、そんな相続対策にまるわる落とし穴の部分について、ご紹介したいと思います。
相続対策とは何か
相続税対策とは、将来の相続税を減らすための対策のことです。
では、具体的にそのために必要な事には、どんなものがあるでしょうか。
よく耳にする対策としては、「不動産」がありますよね?
では、不動産は税理士の専門分野ですか?
違いますよね。
相続対策には、保険商品を使う人も多いです。
では、保険は税理士の専門分野でしょうか。
これも違います。
むしろ、「保険の事なんて一般人と同じレベルしか知識がない」という税理士の方が多いのではないかと思います。
では、税理士は、相続税対策をするにあたって、何の役に立っているのかと不思議に思えてきませんか?
この部分について、少し説明しておきたいと思います。
税理士の役割
税理士は税金のプロです。
そして、申告のプロでもあります。
この為、彼等が得意とするのは、現行の法令で認められている節税枠(非課税枠)を活用する知識です。
例えば、「年間で110万円までなら贈与税がかからない」とか、「教育資金や住宅資金の援助には、非課税枠がある」等といった情報を与えることができます。
でも、このような節税方法は、国税庁が広く周知していることでもあり、ネットで簡単に調べられる内容でもあります。
少し学習能力の高い人であれば、税理士に聞かなくても充分に制度活用ができる環境があります。
でも、これらの制度を組み合わせて活用する際や、保険や不動産を使った節税を計画する際、コンプライアンスチェックを行うのは、誰にでもできる事ではありませんよね。
確かな税・法知識が無ければ、それが合法な手段なのか判断がつかない事もあります。
例えば、相続ではなく、贈与とみなされてしまうボーダーラインについて等です。
私は、このコンプライアンスチェックとしての役割が、税理士の最も価値ある部分だと考えます。
ですから、「いい税理士」とは、コンプライアンスチェックができる税理士という事になります。
これができる税理士であれば、誰でもいいのです。
節税アイデアを出す側のは、もっと柔軟な目線から広い視野を持てる人が向いています。
記憶力が良い人と、アイデアを出す人というのは、少しタイプが違うものですよね。
両方できる人もいると思いますが、士業になるような人達には、頭が固い人が多いのも事実です。
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税理士の苦手な事とは?
相続税対策としての資産圧縮については、不動産が関係することがとても多いです。
しかし、多くの税理士は、不動産業・保険業・証券業等については素人と同じです。
相続税の削減は、不動産と保険によることが多く、結果として失敗するのも不動産であることが少なくありません。
税理士が紹介した土地活用が失敗するケースは珍しくなく、相続税対策においていかに不動産知識が必要かがうかがえます。
要するに、税理士は、不動産や保険等の肝心な部分については、皆さんとそれほど変わらない知識しかないという事を覚えておきましょう。
彼等の苦手な部分を理解しておくことで、失敗を回避することが出来ると思います。
不動産で失敗する理由
地主や資産家が、不動産を使った相続税対策をし、失敗するケースは後を絶ちません。
しかも、殆どのケースは、税理士のアドバイスに従ってこのような対策を行っています。
相続対策の不動産で失敗するという事は、税理士に見えていないリスクがあったからですよね?
売るときの価格を知らないでアドバイスをしていたとか、「家賃保証を付ければ大丈夫」等という間違った判断が原因です。
このような物件が古くなり、そのまま次の相続が発生する時期を迎えることもあります。
税理士は、物件を高く売る方法も知りませんし、建築後に責任を持たないで良い立場にあります。
それでいて、建築会社等から紹介料を受け取っているので、なんとも歯がゆい話ですよね。
紹介料目当てのアドバイスをされても困りますが、購入した不動産や建物がどんな結末になっても、税理士が責任をとってくれることはありません。
この部分をもう少しよく考えてから、相続対策の相手を探すべきだと思います。
まず見つけるべき相手とは?
ここまでの話でお分かりいただけたと思いますが、相続対策では、全てのジャンルを把握して、それぞれの知識をバランスよくコントロールできるコンサルタントが必要です。
あなたの相続対策が不動産売却等を伴う場合なら、不動産知識に強いコンサルタントが良いかもしれません。
現金の活用等で困っている場合には、保険商品や節税(非課税枠)に強いコンサルタントが必要になるでしょう。
大手不動産会社(一部上場企業)での経験を積んだ不動産コンサルタントは、不動産のプロでありながら、節税や保険知識にも長けています。
相続に強い税理士とも提携していますので、総合コンサルとして対応してくれるでしょう。
相続対策には、全体の調和がとれるコンサルタントが欠かせないのです。
まとめ
相続対策といえば税理士という連想が定着してしまっていますが、本来の税理士の役割は節税対策のコンプライアンスチェックと申告業務にあります。
節税のアイデア等は、経営者やお金に敏感な資産家の方々の方がはるかに長けています。
本当に有効な対策を講じるには、税理士・不動産・保険・金融・節税アイデア等の幅広い知識を融合させる必要があるのです。
税理士(単体)だけではベストな提案は不可能と言っても良いくらいですので、できれば税理士と繋がる良いコンサルタントを探すようにしましょう。