株式の配当と同じように、ETFにも配当金の分配があります。
企業の場合、配当金は内部留保金等から支払うことができますが、ETFの場合には法人実態があるわけではないので、直接売却して配当金を払います。
2022年7月8日は、ETF拠出売りが一日に集中することから、多くの投資家が警戒していました。
8000億円規模にもなると推定されていたETF換金売りでしたが、8日の市場は思いのほか堅調でした。
この理由について、まとめておきたいと思います。
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下落は何故起こらなかった?
2021年のETF売りの際は、7~10日に分散して処分されるスケジュールでしたが、日経平均は大幅な下落を演じました。
2022年は、これが一日に集中することから、かなりの下落が想定(警戒)されていたのです。
個人投資家やトレーダーの中には、空売りを仕込んで臨んだ人も多かったようです。
ところが、8日の日経平均はプラス圏で推移し、お昼のニュースで安倍元首相の銃撃事件が報じられた後も影響は限定的でした。
この日の相場は、今後の株式相場を捉える上で、とても大きなヒントになる可能性もあります。
そんな視点から、今回の相場を振り返っておきましょう。
誰が買った?
ETF約8000億円の売りは、無くなったわけではありません。
それなのに相場が上昇したのは、『それ以上の買いがあったから』というシンプルな理解をすることもできます。
では、その買いは誰がどんな意図で行ったのでしょうか。
もしかしたら、この部分に今後数週間から数カ月の相場を占うヒントが隠されているのかもしれません。
8000億円規模の売りを吸収し、更に上昇するほどの買いを入れられるのは、海外勢しか考えられません。
勿論、個人や法人事業での買い支えもあったはずですが、それだけでは説明がつかない強さでした。
では、海外勢は、こんな不安定な状況の中、どんな理由で買いを入れたのでしょうか。
海外勢の思惑
ここ数カ月の海外勢の投資動向を調べてみると、どうやら継続して売りポジションを維持していたようです。
つまり、空売りや実需の売りを出し続けていたわけですね。
そこに、ETF売りの懸念が重なり、「確実に下落する」と踏んだ投資家が空売りを出してきました。
下落を用心し、前週から損切や利益確定を早めた人も多かった事と思いますので、海外勢の含み益は増加したことでしょう。
誰もが同じ予想をした時、海外勢はこれを利用して利益確定を実行することがあります。
この為、株式相場では『起きなそうな事が意外に起こる』ということになります。
個人的見解にはなりますが、今回の相場でも、おそらくこのような思惑的な力が働いているのだと思います。
今回の上昇は、海外勢の手仕舞い(売りポジション解消)か、新たな買いポジションの開始のシグナルかもしれません。
今後の相場
アメリカでは景気後退懸念も台頭してきたところですし、日本株は、夏から秋にかけてはあまりパフォーマンスが良い時期とは思えません。
そんな中、ETF売りで大きく下げるとなると、誰もが積極的に買えなくなる日でした。
という事は、直近では個人の売りや利益確定が出やすくなっていたという事になります。
海外勢がこの日を仕掛けのスタートするならば、ここから短期的な上昇相場が始まる可能性もあります。
空売りで仕掛けた投資家を踏み上げさせるような上昇があるとしたら、急上昇させる方が効果的です。
要するに、怖くなって投げてしまうような急上昇です。
個人や国内機関投資家が売りで入りやすい時こそ、急な上昇を演じる可能性があるという事です。
変化を掴む視点
起きるはずの事が起きなかったといことは、何らかの力が働いているということです。
蓄積された力は、どこかで解消されることになりますから、今後はそれを見極める時期になっていくのではないでしょうか。
私達の想像を超える投資資金を持つ海外勢が、思いもよならい相場を創っている可能性を考えましょう。
コロナ渦でも株価が上昇して驚いた人達がいたと思いますが、個人投資家が怖くなって投げ売りをする時程、海外勢には儲けのチャンスになっている事実があります。
向こう側の視点になって投資することによって、勝率が上がるかもしれませんね!
まとめ
ETFの換金売りは、心配されたような下落を起こさずに終わりました。
これは、とても大きな意味を持っているのかもしれません。
それだけの資金を投じて誰かが「買い」を進めたという事実があるからです。
そして、その「買い」を手仕舞いする時、本当の下落がやってくるという事になります。
おそらく、それは誰もが「このまま上昇していくのでは?」と思うような場面とか、「大きな下落は起こらないだろう」と思える時です。
今回のETF分配金による下落は先送りされただけだと考えておくのが良いと思います。
結局は、数か月後には同じだけのパワーか、それ以上の下落が発生すると考えておくべきでしょう。